サエズリドコロ

読書にまつわるあれこれや、観たり聴いたりしたものを記録しておくアーカイブ

演技力×推理力で、犯人を探し出せ!マーダーミステリー

11/21某所、私は「マーダーミステリー」というゲームに参加するため、大阪まで出向きました。

マーダーミステリーとは、既存のキャラクターを演じつつ、そのシナリオで起こる殺人事件の犯人を探し出すゲーム。

演じるキャラクターは、目撃者であったり、探偵であったり、犯人であったりします。

さまざまな情報を交換したり、交渉したり、取引したり、嘘で誘導したりする高度な会話ゲームでもあります。ミステリーを読むのが好きだったり、謎解きゲームが好きな人には是非、お勧めしたいです。

あと、マイナーですけど「テーブルトークRPG」経験者は、アレのミステリー版だと思うとイメージしやすいと思います。

 

さて、今回主催者さんが用意してくださったゲームは、こちら。f:id:bibliabird:20201123222916j:image

「月落としの木霊」です。犯人ネタバレなど無しで、少し解説やらプレイの振り返りなどをしていこうと思います。

まず、キャラクター選びですね!私は、小説家の「美原椎一郎」を選びました。キャラクターの一人一人に専用の小冊子があり、それを読んでいきます。そこには、舞台となるキャンプ場に来た目的や他のキャラクターとの関係性、そして自分だけにしかわからないプライベートな情報までが書かれています。

共通のシナリオをみんなで確認して、ゲームルールの説明を聞いたら、事件発生!です。

キャラクターの一人が、殺されてしまいました。

もちろん、このキャラクターはプレイヤーの中にはいません。今回は、本来の探偵が人数不足で居なかったため、他のキャラクターが探偵役を担うことになります。

え、他のキャラクターって、もしかして……。

さて、私が演じるキャラクター、美原さんは小説家……しかも、ミステリー作家!?

うふふ、まさか、ね。冷や汗たらり。

 

そして、ここでアクション第一フェーズになりました。このゲームでは、3回のアクションと推理タイムを交互に行うようになっていました。

アクションのフェーズでは、各エリアのテントやバンガロー、殺人現場などに移動して、証拠品を見たり、手に入れたり、それを交換したりすることができます。アクションに使うチップは数が決まっているので、どこをみて、何をするかがとても重要になってきます。

また、同じエリアに来たキャラクターとしか話もできないのが、リアルです。

 

そして、最初の推理タイムが来ました。最初なのでまだ証拠もたくさんは揃っていません。それでも自分の持っている他のキャラクターの情報で、互いに互いを揺さぶり合うという緊迫感。MMの醍醐味ですね。キャラクターごとにある小冊子の中身は、もちろんその人しか知りません。だから、自分のことがどんな風に書かれているかわかりません。もしかしたら、自分の行動をなにか目撃されているかもしれない、そして相手はそこを突いてくるのです。犯人でも犯人でなかったとしても、疑われないようにするのは、なかなか難しいです。喋りすぎても無口すぎても疑われます(笑)しかも、本当のことを言っていても怪しまれる!

 

まだまだ結論の出ないまま、2回目のアクション。

1回目と違うのは、証拠のカード。一番最初に配置されているのは、当人の持ち物です。ですが実はこのゲーム、証拠品を持てる数が決まっています。新しい証拠カードを持っていたければ、手持ちのカードをその現場に置いてこなければなりません。これが曲者です。その証拠は最初からそこにあったのか?後から持ってこられたものか?

そう、もはやそこにあるからと言ってそれが犯行の証拠とは断定できないルールになっているのです!

そして、またお互いの情報を出し合い、出し惜しみしながら推理タイム。

 

ここで、もう一つ。キャラクターは各々ゲーム中での個人ミッションがあり、それに応じた点数があるようです。美原先生にもありました。マイナスになることもあるので、ほんと、迂闊なこと言えないんだよなあ〜。

閑話休題。そんなわけで、個人ミッションは大事なんですが、意識しすぎると、かえって怪しまれることにもなりかねないので、これをいかにさりげなく盛り込ませられるかの演技力も必要になってきます。犯行時刻、目撃証言、不自然な言動や行動に対する質問などを経て、徐々に真相に近づいていきます。

 

最終の推理タイムでは、いよいよみんなで犯人を特定します。基本的に多数決になります。

今回のエンディングは、ABCの3つが用意されていました。

A. 犯人は当てたけれど、動機や犯行の経緯が解明されていない不完全な推理。

B.見事に真相にたどり着いたトゥルーエンド。

C.全くの見当違いだったもの

だったのかな?

結論をいうと、私たちはAのエンドでした。なんとか犯人はわかったものの、細かい動機や真相は解き明かせなかったのです。

まだやったことない方でこのゲームに出会うことがあれば、是非真相にたどり着いてください!

マーダーミステリーのデメリットをあげるとするなら、間違いなく、「同じゲームは2度と出来ない」ことなんですよね……。

 

メインのゲームは終わりましたが、スマホやパソコンでできるマーダーミステリーもあるみたいで、こちらもプレイしました!

それが、こちらのゲーム。

https://t.co/gYFtMIdMrQ?amp=1

「MissMurderの事件簿〜沈黙のホテルで四重奏を〜」です。

これは4人で行うゲームですね。

ルールをきちんと守れば普通に遊べます。

ただ、推理ページとキャラクターのページを行ったり来たりする必要があるので、正直スマホでは少し面倒かもしれません。パソコンで窓を複数開けて行う方がスムーズではあります。

とはいえ、演技力×推理力が必要なのは同じ。

オンラインでやるなら、個人でチャットできるツールがあると、より情報戦が巧みに出来て面白いでしょう。こちらでも、どのキャラクターも秘密を抱えていて、魅力的です!どのキャラクターを選んでも楽しめますが、私が選んだキャラクターは「サーカス団員・ジョー馬場」でした。すごくやりがいのある役どころでした。

 

また色んなボドゲやマーダーミステリーをプレイしてみたいな、と思ってます。それにしても、性格出るよね……私、本気で悔しいんです、主催者さんに勝てないの!アンナチュラルの中堂さんばりに「くそーー!」って言ってたな、うん。

 

 

コーヒーとチョコレートで贅沢なひとときを

昨日から4連休を勝ち取った2日目の今日、自分を労るべくやってきたのは、天王寺駅から徒歩10分もかからないカフェ、「YARDCoffee & Craft Chocolate」

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こちらは「本質的なフレーバーと余韻を届ける」をコンセプトに、コーヒーと、それに合うさまざまな種類のチョコレートスイーツがいただけるお店です。

 

店内は、濃淡さまざまなグレーが基調の間接照明が落ち着いた気分になれます。テーブルはナチュラルに。変に観葉植物とかの有機物がないのも好ましいです。スイーツを載せるプレートやコーヒーのカップは素焼きのもので、店のカラーに溶け込んでいて、統一感があります。大人のカフェですねえ〜(^^)

 

私が注文したのはこちらのスイーツ2種。

左がガトーバスク、右がクレーム・オ・ショコラです。コーヒーは、エチオピア シャキソをホットで。

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 ガトーバスクは、サクサクの生地にチョコレートカスタード、滑らかな食感。意外とあっさりとした味わいのチョコレート。重めに見えて軽い、食感のミックスが楽しめるケーキ。うっかり二切れくらい食べれてしまいそうな軽い口当たりが危険です。

 クレーム・オ・ショコラは、一口目からガツンと濃厚なチョコレートクリーム❗️「甘い」というよりも「濃い」と言いたくなります。最初カカオの苦味が一瞬感じられるが、すぐに甘みと濃厚さに上書きされるので、最初の苦味を追いかけたくなって二口目いってしまいます。複雑な味が滑らかなクリームの中で溶けて、酸味というか、フルーティさも感じる。贅沢な味わい、美味しいです❤️ワインや洋酒とも相性いいかもしれません、色気のあるスイーツです。

 

エチオピア シャキソは、当たり前ですが、チョコレートにはバッチリ合います☆スッキリだけど、薄くない、冷めてくると酸味が勝ってきます。集中力が高まりそうな、キレもコクも感じられるコーヒーでした。

 

実はこちらのお店、自分で発掘したんじゃないんですねえ〜、参加している読書会から派生した部活、「お料理部」。わたしもこちらに所属しておりまして、日々メンバーの作る料理の写真やら外食の情報、食べ物が出てくる本のお話などで盛り上がっているのですが、もれなくカフェも大好きな❤️メンバーで、コーヒー党です、と言ったら教えていただいたのです。ブラックコーヒーとチョコレートの組み合わせに目がないわたしには、あまりにもドンピシャすぎるお店でした!リピーターになるしかありません(o^^o)これからの季節、通いたくなります。

 

アートな休日

3/1、朝から大塚国際美術館に行ってきました!

母のたっての希望で、旦那が車を出してくれての日帰り。春らしく過ごしやすい天気と気温の中、約2時間ほどのドライブの末、到着した大塚国際美術館は、圧巻の一言でした。

 

地下3階から3フロアに渡って展示されている、有名な絵画の複製陶板。三時間では到底全てを鑑賞することは出来ませんでした。

最初に古代の壁画などから鑑賞したのですが、近代の方をもっと観てまわりたかった……!と後悔しきり。これは、もう一度訪れるしかない。時間も足りない、5時間くらい平気で観てられます。

 

最初に入ったのは、システィーナ礼拝堂。紅白で米津玄師さんが歌っていた、あの場所です。

ものすごく荘厳で、圧倒されました。

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写真は一階上がったところから撮ったものですが、階下からの眺めとはまた違いますね。

 

さて、ゴッホフェルメールなどが観たい!と思って近代の方へ行きました。

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旦那が観たがっていたこちらも素敵でしたし

写真にはおさめていませんが、デルフトの街並みを描いたものも、すごく好きです。

そして、ゴッホと言えば、ひまわり!7種類ものひまわりを観られたのが嬉しいです。中でも、戦火に焼かれた幻のひまわりを復元したものがあって、それはもう元絵が存在しないという事実も含めて芸術で、ドラマのある絵なんだと感じました。ポストカード、買っちゃいました⭐️

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あと、ヴィーナスの誕生。こちらは左側はよく観るものですが、右側の「ラ・プリマヴェーラ」に私は強く惹かれました。この2枚が対になっていると考えられていることを初めて知りました。

実は今回、色んな絵画を観て「ああ、好きだな」と思ったものが、春のモチーフやテーマのものであることが多くて、今の私の内面は穏やかなのだな、と感じました。音楽や映画、絵画の鑑賞が、自分でもはっきりわからない心を映す鏡のような役割を果たしているのかも、と思うと少し面白いです。

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いい天気で本当によかった!と思えたのは、こちらの大パノラマが観られたからです。屋外展示で、このようにぐるりとモネの「大睡蓮」に囲まれるという贅沢な空間。とても開放的でした。最高。ぜひ今度は泊まりがけできて、今回観られなかった絵も観たいなあ。クリムトとか、全然だったので。

 

 

 

音楽があると記憶が残りやすいよね

 実は、原付免許しか持っていない私である。でも、原付運転中だって鼻歌しちゃうこともあるくらいだから、走る個室な車だったら、好きな音楽かけちゃうよねー、わかる。


そういえば、CMでも言ってるじゃないか、「送り迎えはもはやフェス」って! そんなふうに思えるなら、毎日の送迎が楽しいだろうな。車の外にまで重低音響かせるのは、ちょっと迷惑かもしれないけれど、夏の早朝に海やレジャーに向かってサマーソングBGMでドライブって、ものすごいワクワク感がある。


自分のドライブ×音楽の思い出は、助手席の思い出ばかりだな。受験生の秋、塾まで父が迎えにきてくれたときに、ラジオから流れてきたオフコースを褒めたら、無口な父が「サイモン&ガーファンクルもいいぞ」って言ったこと。びっくりしたせいか忘れられないな。あと、旦那と付き合ってた時は、まだカセットテープで、ドリカムとかリンドバーグとかよくかけてくれてた。


もし、自分が運転できたら今なにをかけるかな〜、アイナナだろうな、きっと。彼らの底抜けに明るく元気な歌声でドライブ!絶対楽しいぞ〜💕

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やっぱ好っきゃねん!大阪

昨日、久しぶりに難波で食事でした。長男初給料での奢りで肉バル。飲み放題も付いてたのでワインやらテキーラベースのカクテルまで色々飲みましたよ。

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2時間の食事の後、小一時間ほどぶらぶらしてたのですが、大阪の街って改めて観てもいいなぁ〜と思って、観光客でもないのに写真撮りました(o^^o)

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裏路地とか橋の上からとか、法善寺横丁などなど、歩いてるだけで楽しかった♫

この日は、普段は三宮で一人暮らししてる次男も一緒だったのですが、彼の言葉がすごく心に染みました。

 

「難波、落ち着くわ」

 

お洒落な神戸っ子になってるかと思ってたから、驚いたけどちょっと安心もしました。離れて暮らしてても、変わらないところ、残しておいてね。

10/6 彩ふ読書会大阪・午前の部「推し本会」感想

10/6 ののの彩ふ読書会、午前と午後の部に参加しました。
場所は漫画読書会の時と同じ会場です。ようやく顔見知りの方も増え、馴染めてきたのかなと思えてきました。
 
午前の部は通常通り「推し本紹介」
3つのグループに分かれて、1グループ7~8名の構成で、一人ずつ推し本を紹介していきます。
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私はAグループでした。メンバーは、私を含めて7名です。主催者の男性、進行役のサポーターの女性(漫画の時も進行してくださってた方です)、大阪サポーターの男性、京都サポーターの男性、今回が二度目という女性、初参加の男性、私。す、すごい。なんという万全のサポート体制なテーブルでしょうか。私が脱線してもきっと軌道修正してくださるに違いない、と一気に安心っしてしまいました。というか、暴走するリストに入っているのでは。

簡単な自己紹介をしてから、いよいよ本の紹介です。

まずは、進行役の女性の推し本。
「淋しい狩人」宮部みゆき
東京下町で古書店を営むおじいさんが語り手の短編集。バイトで手伝ってくれるお孫さんもでてきます。語り手が眉目秀麗な男性や女性のキャラの小説は、たくさんあるけれど、おじいさんというのは珍しいし、それゆえに少しビターな味わいの小説であるとおっしゃっていました。本にまつわるミステリで、短編から成るので、宮部みゆき入門小説としておすすめ、ということです。一番のおすすめは6つのお話の中でも「うそつきラッパ」だそうで
これまた、そそられるタイトルだなあ、と思いました。それにしてもタイトルだけでは気づかないとはいえ、図書館や古書店が舞台の小説を狂ったように読んでたくせに、これが未読って悔しいわ、と心の中で歯ぎしりしたことを明記しておきます。……いや、口に出してたか、出してたわ。


二番手は私の推し本。
「下鴨アンティーク」白川紺子
はい、八月に下鴨神社へ行ったのを機に、読み返していたシリーズを紹介しました。地理に明るくなってから読むと、浮かぶ情景がよりリアルに感じられて、聖地巡礼の大事さに目覚めた!などと熱弁したり、「イケメンが!イケメンが!」と壊れたおもちゃのごとくわめいた記憶しか残っておらず、ああ、私はこの本の面白さを、ちゃんと伝えられているのだろうかと、反省しきりです。
それはさておき、このシリーズは、亡くなった祖母から譲り受けた蔵に収められている着物、それも、持ち主たちの情念が宿って不思議な現象を起こす着物を、元通りにしていく女の子の話です。
ある着物では描かれた花の色が変わってしまったり、消えてしまったり、あるいは着物をだした途端、幻の雪が舞ってきたり、小さな子供の声が聞こえてきたりします。それらを、解決に導くために、本人や親せきに話を聞き、帯や帯留めを組み合わせて着ることで、現象を鎮めていくのですが、その解決のアイテムのヒントになるのが、書物や歴史、詩歌にあるのが、なんとも読書家の心をくすぐります。文学部や暦文などを履修した方は、二倍三倍楽しめるはず、と紹介しました。

三番手は京都サポーターの男性の推し本。
「瓶詰地獄」夢野久作
ドグラ・マグラなどで有名な夢野久作ですが、お恥ずかしながら未読でした。文豪作品は、旧仮名使いであったり、文庫の文字も小さめだったり、とっつきにくいイメージを持っていたのですが、彼が持ってきた「瓶詰地獄」は表紙からしてとても耽美な本でした。「乙女の本棚」シリーズというもので、この本のほかにも3冊ほど見せていただきました。彼は文字のみで読んだそうなのですが、イラストを見ながらだと、想像とまったく違う印象になったとおっしゃっていて、視覚から入る情報の強さってすごいなと思いました。文学作品を読むきっかけにになるのなら、アリだな、と一同頷きましたよ。そして、主催者の男性のクリティカルな質問が炸裂。「初めて読むなら、イラスト入りと文庫、どちらがいいですか?」
先ほど、文学作品を読むきっかけに、と思ったのですが、うなりました。いや、先にイラスト入りを読んだら、確実にイメージついてしまう、自分の想像の「瓶詰地獄」を見たい気もするし、でもこのイラストは抗いがたいほど、耽美で世界観がいい、と悩ましい気持ちになってしまいました。

四番手は大阪サポーターの男性の推し本
「大相撲殺人事件」小森健太朗
いわゆる、バカミスです、という一言から始まったこの本の紹介は、今回の推し本紹介で一番笑ったものでした。まず、アメリカから留学してきたはずのマーク青年がどういうわけか相撲部屋に入ることになり(!)そこで殺人事件がおきてしまう、というあらすじ。力士の40%が死ぬという異常事態の中、マークは不戦勝で勝ち上がっていくらしいのです。なんといっても、「はっけよおい、のこった!」の直後、土俵上の力士が爆死する、というエピソードは、笑いとどよめきが起こりました。もう、「どういうことやねん!」の連続です。しかも、この殺人事件、マークが有利になるような展開になっているらしく、犯人やトリックいろんなことが気になる作品でした。これだけはちゃめちゃにもかかわらず、読んだ後はちょっぴり相撲に詳しくもなれるそうで、一粒で二度おいしい小説ですね。いや、バカミスって言葉も初耳でしたわ。

五番手は参加二度目の女性の推し本。
ジーヴスの事件簿」P・Gウッドハウス
ロンドンが舞台の、ミステリ短編集。ホームズよりも少し、ライトで読みやすい感じと紹介されていました。のんびりしたボンボンである主人が巻き込まれる事件簿を解決するのは、彼に仕えるベテラン執事です。それを聞いて、国内の色々な執事ものを思い出したメンバーから「黒執事」「謎解きはディナーの後で」みたいな感じ?とぽぽん、と出てくるのは、さすがというか、皆さん一通り、読んでるなあ、と感じました。「主人と執事の関係性ってどんな感じですか?執事が絶対服従の感じなのか、それともちょっと立場的に執事のほうが上な感じ?」と質問。「後者です。」とのお答えでしたので、会話も楽しめる小説なんだろうな~とベテラン執事の鮮やかな推理を見てみたくなりました。どんな珍事件にご主人が巻き込まれていくのかも、興味がわきます。

六番手は初参加の男性の推し本
「丸太町ルヴォワール」円居 挽
主人公の青年が目の病気療養で滞在していた祖父の屋敷で、祖父が殺される事件が起きる。容疑をかけられた青年は、その時「ルージュ」という謎の女性といた。嫌疑を晴らすためではなく、もう一度彼女と会いたい、というだけの理由で、でたらめな裁判がなぜか京都御所で開かれる、というなんとも奇想天外な小説。
時間かせぎにわざと嘘の証言や証拠をでっちあげたり、裁判員を味方につけて有利に裁判を進めたり、という展開だそうで、「逆転裁判」みたいだな、と誰かがおっしゃっていたのですが、私は
「シカゴ」という映画を思い出しました。容疑者の女性二人が、陪審員や裁判官を、色仕掛けや泣き落としで味方につける法廷ものだったと記憶しているのですが。シリーズで、烏丸ルヴォワール、河原町ルヴォワールなど、京都を舞台にした小説らしく、「なんで丸太町?」の疑問に「裁判所が近いからじゃないかな」とさりげなく答えてくださっていたり、京都御所での裁判、と言われて、「それで丸太町か!」と納得されていて、地理って大事だわ、の結論を再認識しました。

最後は主催者の男性の推し本。
「ロマンスの辞典」望月竜馬
午後の課題本「ILoveYouの訳し方」の作者でもある望月竜馬がいろんな言葉をロマンチックにしてみよう、という辞典です。どんなに色気のかけらもない単語でさえ、思わず歯が浮くような言い回しで表現された語句の数々。思わず全員身を乗り出して、いろんな言葉を調べだす始末。しかもあえて「きらい」「りこん」などロマンスから縁遠い言葉ばかりをチョイスする我々。あげくのはてには「かつおぶし」。そ、そんな言葉までロマンチックになってしまうのか!?と目を疑いますが、なります。なっています。全部の語句を調べてきゃっきゃっうふふしたい一冊でした。辞典のお話つながりで、最近はいろんなのがあるよね、という話になり、「悪魔の辞典」や「大和言葉の辞典」など面白そうな辞典のタイトルが出てきて語彙力アップ目指したくなりました。

私がもたもたしていて、本の写真はAテーブルのものしか撮れておりません。他のテーブルの詳細は、他の方のレポを楽しみにしておこうと思います。忘れないうちにと思って記憶を拾い集めただけのレポですが、楽しかった!この楽しさが伝わりますように~。
午後の部は、課題本、そして初の試み実験的読書会の様子を書くのですが、え、あれ、まとめることなんてできるのかしら……。あらゆる意味で、カオスです。

アート&スイーツグルメの休日

去る9/28の土曜日、以前から何度か参加している読書会の中で行われている部活動なるものに参加してきた。その名も「鑑賞部&スイーツ部」!美術館や水族館などのミュージアムに一緒に行き、そのご近所のおいしいスイーツも堪能してしまおうという贅沢な活動だ。

この日は堺市駅から直結している「堺 アルフォンス・ミュシャ館」にて、ミュシャ没後80周年記念特別展、「アール・ヌーヴォーの花園」を鑑賞。

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午後12時半に集合したメンバーは5名。主催者で読書会でもサポーターをなさっている女性(Sさん)、課題読書会でご一緒した女性(Mさん)、先日「文学フリマ」で一緒にブースを回って意気投合した女性(Tさん)、サポーターで、ご自身も読書会を主催している男性(Sくん)、そして私。時間通りに集合した私たちはさっそく連絡通路を歩いて、ミュシャ館へ。その道すがら、Sくんがふと、一人の同年代らしい男性に呼び止められた。どうやらお知り合いだった様子。この、妙齢の女性陣に囲まれたSくんに、彼は突っ込まなかったようだが、心中はどうだったのだろうかと、気になってしまった。「ハーレム状態」とか思われていたら後日つっこまれるのでは、といらぬ心配をしてしまった。

 

閑話休題

まずはミュシャ展である。今回は、ミュシャと同時代に活躍したルネ・ラリックのジュエリーや工芸品も展示されている。我々は、しばしば作品を見て、これはラリック作か?ミュシャ作か?と首をひねる羽目になった。ミュシャって、絵だけじゃなくて、ジュエリーとかも作っちゃう方だったんだね……。女性の柔らかな曲線美や、パステルな色使いのイメージが強かったので、新鮮な驚きがあった。

いくつかの絵画を観て気づいたのは、シリーズものとされる彼の作品は、4作品1シリーズのものが多いということ。四季のシリーズは複数あったので、春、夏、秋、冬とそれぞれ見比べるのも面白い。さらに、宝石イメージのシリーズや、星のシリーズ、芸術イメージのシリーズなども、どれも4作品1シリーズであったのが印象的だ。

ところで、今回のミュシャ展の中で、最も私は惹かれた作品が一つある。それは、星シリーズの「月」だ。連作<4つの星>は、ミュシャの明るい、パステルな色使いとは一線を画していて、夜空の中の星を描くためなのか、ダークな色調で描かれている。まずはそこに注目したのだが、それぞれ、「宵の明星」「明けの明星」「月」「北極星」がテーマだ。「宵の明星」はまさに西の空に沈まんとする様子を、夕暮れに顔をそむけた女性の姿で表現している。対して「明けの明星」は東の空から明るく光を放射しながら静かに顔を見せる様子を額にかざした手のひらから放たれる光で表現している。素敵な対比作品である。そして残り二つのうち、「北極星」は自身はほとんど動かず、周りの星々がめぐるのを印象付けるように、光を両手で包んだ女性の周りを明るい光の帯が土星の輪のように囲んでいる。星のイメージをとらえた美しい絵である。そんな中で吸い寄せられるように眺めていたのが「月」だ。細いクレセントムーンをバックに、正面を向いている女性。片手で服を手繰り寄せて胸元を隠しながら、少し上目遣いでほほえむ、その口にもそっと反対の手を添えて隠している。なんだかミステリアスだ。無邪気な少女にも、成熟した女性にも見える。私は何度も観ては離れ、また観に戻る、というはた迷惑な鑑賞者になってしまった。はた迷惑といえば、今回もTさんと連れ立って鑑賞していたのだが、どうも私たちが揃うとテンションが上がってしまうらしく、何度かスタッフの方に「もう少し、お静かに」と言われてしまって反省しきりである。でも、Tさんは、すごく素直に「すごいね」「素敵だね」と、感想を惜しまない方なので、一緒に観られるのが楽しい。Mさんはなんと画集を所持されているらしい。持ち運びが大変かもしれないが、読書会ででもぜひ、拝見したいと、心の声を駄々洩れにさせた。

変わったスポットもあった。まずはミュシャ作品に囲まれて撮影できるスポット。自撮り棒や簡易的な三脚までおいてくださっていたのだが、我々は誰一人、囲まれに行く強者はいなかった。よってこんな写真である。

f:id:bibliabird:20191001230949j:imageもう一つはタッチパネルで遊べる(?)もので、ミュシャの絵の飾り枠や花や人物のパーツを組み合わせてオリジナルな一枚を作ってみよう、というもの。私はいろいろ組み合わせてみたのだが、欲をいうなら、パーツの種類はもっとたくさん欲しかった……。

下の階に移ると、そこはラフや、商業用のポスターなどが展示されていて、ジュエリーシリーズの4作品もこちらにあった。絵画に似せた祭壇のようなものも作ってあって、その再現度には一同唸った。この階では、ビスケットの包装紙に、女性画の多いミュシャが描いた男性紳士の絵が観られたのが収穫だった。そういえば、上の階にも、スネイプ先生を彷彿とさせるような男性画があったなあ。

グッズ販売コーナーで、各々買い物をするときも、和気あいあいと、選んで楽しい鑑賞会だった。私はもちろん、連作<4つの星>のポストカードと、秘密のお土産、画集顔負けのガイドブックを購入し、山ほどのリーフレットをいただいてきた。

この後、予定があるというMさんとは、ここでお別れして、4名になった私たちは、次なる目的地、おいしいケーキ屋さんへ。ここでの会話は、なかなかにはっちゃけたものになったので、一度インターバル。ミュシャはどこへ行った!?と言わんばかりの話題展開の早さと豊富さが、たまらなく面白かった。